有元愛美子 仁村秀一
事件や事故が起きた際、警察が110番の通報者から現場の画像や映像を送ってもらうシステムの試行が昨年10月、全国で始まった。スマートフォンのカメラ機能を活用したもので、警察がいち早く状況を把握し、適切な対応や人員配置につなげるのが狙い。埼玉県警によると、県内の運用は昨年末までに43件。本格運用は4月からで、市民とのやり取りがスムーズにいくよう、検証や課題解決を進める。
最短2分でスマホから
仕組みはこうだ。通信指令センターなどで110番通報を受理する警察官が、通報者の同意を得てスマホなどにショートメッセージサービス(SMS)で専用のURLを送る。通報者が警察官から教えられた4桁の暗証番号を打ち込んでシステムを起動し、現場の画像や映像を撮影・送信する。警察官はこの映像をリアルタイムに確認し、状況把握やその後の対応に生かす。通報者は事前に撮った画像や映像を送ることもできる。
早ければ、2分ほどで送信することが可能。通報者のスマホの操作画面を警察官が同時並行で確認しているため、細かなアドバイスも受けられる。
県警によると、昨年末までの3カ月の間に送信を受けた画像や映像は、当て逃げ事故を起こした車▽窃盗グループが盗品をトラックに積み込む様子▽道に迷ったとみられる人の姿――など。従来の110番通報は口頭のやり取りに限られていたため、警察官が視覚的に現場の様子を把握できる新システムは利点が多いという。
110番通報の受理を担う県警通信指令課の岩森靖次席は、「今後は、大規模災害での迅速な対応や山岳遭難者の救助などにも役立てていきたい」と話す。
不要不急の通報が13万件
埼玉県警が昨年1~11月に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル